2008年10月24日金曜日

個体と遺伝子 - Franz Liszt と栗

15歳で家族を養う為にピアノ教師になり、「ピアノの魔術師」と言われたフランツ・リスト(1811-1886)は、メンデルスゾーンが書き上げたばかりの協奏曲を「初見」で弾いて、「人生の中で最高の演奏」と言わしめたそうだ。昨晩は、ピアノのコンサートだったのだが、このリストの作品を演奏する北村君(16歳)が特に素晴らしかった。リストは幼少から指を引っ張り伸ばして4オクターブ音階を得意としたとされているが、やはり天性の素質は間違えない。北村君もそうだろう。さて、リストと同じ時代を生きたダーウィン(1809-1882)なら、「リストという人物の個体の系譜」に注目したかもしれない。しかし、150年経った現在の利己的遺伝子理論では、「リストという人物の性質の系譜」に注目する。調べてみると、女狂いだったリストはある皇女と同棲、3人の子の内の一人の娘コジマがワーグナー、ビューローという二人の作曲者と重婚し、その息子のジークフリートは指揮者となった。この遺伝子は、激動の時代を生きのびている。写真は、寿司屋で出た「焼き栗」。大きかったが、こうして食われてしまえば、この遺伝子は生きのびる事ができない。

2008年10月23日木曜日

怨霊バスター - ちょっと驚き

1984年にシカゴへ留学した年なので、もう24年前になるが、「ゴーストバスター」という面白い映画があった。子供が好きで、ビデオを何回も見たのは懐かしい。さて、バットマンもそうなのだが、街に悪霊が充満したような、状況の画像を思い出す時の映画だ。もやもやと、人の怒りや、怨念のような物が描かれる。さて、昨日の昼下がり、動く歩道を歩いていると、突如二人の定年直後らしき叔父さんが、殴り合いのけんかを始めた。どうも、追い越し際の揉め事らしいが、驚いた。多分赤の他人と思われる。どうでも良いのだが、とにかく、普段はおとなしそうな、いい年の二人なのだ。まさか、なけなしの退職金を株ですったわけではないだろうし、なにやら、「世の中に怨念らしき悪霊」が充満しだしたのだろうか。

2008年10月22日水曜日

観光庁 - 知らなかった、、、

マンハッタンのいたるところに、様々にペイントされた牛の置物が置かれた事もあったし、セントラルパークに1000以上のゲートが出現した事もあったが、今年の夏は滝ができていたとは知らなかった。6/26から10/13の間というから、8月に行った時にはあったはずだ。10/1に日本では「観光庁」ができたと言うので、観光立国と言えばスイス、観光人気第一位都市といえばNYと、サイトを調べていたら、「New York City Waterfall、、、」というプレスリリースを見つけて、「?、?、?」となった。「ナイアガラ?」などと思ったが、写真サーチで出てきたのが、「ワン、ツー、スリー」、これだ(←)。4箇所の滝(アート)に期間中140万人が訪れて、69億円の経済効果があったそうだ。

2008年10月21日火曜日

自己同一性 - DNA

身体性はDNAで決定されるから、同一性についてはさして困らないが、心はそうはいかない。よく「組織のDNA」とかという言葉を使うが、これは間違えで、DNAは文化でも心でもない、ただの設計図だ。さて、林先生の最終講義を反芻しながら、あれこれと考えるのだが、つくづく生命体とは不思議なものだ。それはさておき、その日は同窓会でもあったので、約35年前へとフラッシュバックするのだが、何もなければ想起されない記憶まで突然として思い出す。これを「状況記憶」という。時として、記憶の外に追いやっていた、ドジな思い出などを、当時の友人に揶揄される。自分では変わっているつもりでも、こういう友人が居る限り、自己は同一であり続ける。どうでもいいか。

2008年10月20日月曜日

無知の知 - 生命の起源

林嘉男先生(83歳)、現役最終講義を兼ねた、慶応林研OB会に、当時助手で居られた安西塾長含め150名参集。演目は「DNAの話」だが、医学、化学、工学博士の先生が考え続けてこられた、「生命はいったいどうして創られたか」が底流にあり、「工学的に分析する事はある程度可能だが、どうしてそうなるかについては、わからないことだらけ」というお話だったと思う。「わからない事をわかろうとがんばる」という先生の態度は、あらためて感服した。「卵からどうして、羽、足のある鶏ができるか?」。安直に「プラトンかアリストテレスに聞く事ではないですか」とつまらぬ事を私が言っても、優しい先生は怒らなかった。「わからない事」をを知っている先生は、ソクラテスの高みに至られた。